視聴維持率34%から66%へ改善した結果
以前、「【YouTubeショート】視聴維持率34%の衝撃。AIホラー動画が伸び悩んだ理由」という記事を書きました。あのときは正直、「AI動画だから伸び悩むのは仕方ない」という結論に近い着地でした。
でも、あれから運用を続けているうちに、明らかに毛色の違う結果を出す動画パターンが見えてきました。
AI静止画+ElevenLabsのナレーションで構成した「怪談朗読系」動画です。
なぜ維持率が上がったのか、正直まだ自分の中でも明確な答えは出ていません。ただ、いくつか仮説を立てられるくらいの手応えはあったので、今回はその「わからないなりの検証」を記事にしてみます。
視聴維持率の実測データ(YouTubeアナリティクス)
体感だけでなく、YouTubeアナリティクスの数字でもはっきり出ていました。静止画+朗読型に切り替えた直近2本の動画の「エンゲージメント」タブを見ると、次の通りです。

<!– 画像キャプション例:エンゲージビュー658、視聴継続66.4%/スワイプ離脱33.6% –>

<!– 画像キャプション例:エンゲージビュー598、視聴継続66.9%/スワイプ離脱33.1% –>
以前の動画主体型で「維持率34%の衝撃」と書いたときの数字が、同じ指標でいう「視聴を継続」だったとすると、34%→66%台、ほぼ倍増したことになります。2本続けて66%台に乗っているので、単発のフロックではなく、この型自体に再現性があると見てよさそうです。
AIホラー動画からの構成変更点
きっかけは、正直あまり前向きなものではありませんでした。
これまでは、動く映像(Veo3・Kling・Omniなどで生成した動画クリップ)を主体にしたAIショートホラー系動画一本に絞って投稿していました。カメラワークや質感にこだわった記事を何本も書いてきた通り、「映像としての説得力」を追求する路線です。
ところが、ある時期から**この手のホラー動画がYouTubeショートフィードに載らなくなる**という現象が起き始めました。再生数の初速そのものが伸びなくなり、フィード露出の段階で弾かれているような感覚がありました。
これはあくまで肌感覚で、実際に因果関係を確認できたわけではないのですが、**「過激な恐怖演出」がショートフィードに載りにくくなっている**のではないか、という仮説を持っています。表現の過激さが何らかの形でフィード側の評価に影響している可能性はあると考えていますが、断定はできません。
この状況を受けて、演出の方向性を見直す中でたどり着いたのが、今の形です。
– 動きのある映像ではなく、AIで生成した静止画を並べる
– BGMや効果音より前に、ElevenLabsで生成した朗読ナレーションを主軸に置く
– ストーリーは「怪談」という、もともと音声だけで完結する語りの様式を採用する
– 直接的な恐怖演出(ジャンプスケア的な映像の激しさ)を抑え、語りで怖さを積み上げる構成にする
映像制作としては明らかに手数が少ない構成です。にもかかわらず、フィードへの露出が戻り、視聴維持率も目に見えて上がりました。
視聴維持率が上がった理由(仮説)
理由は特定できていませんが、思い当たる要素はいくつかあります。
仮説1:AI動画特有の「違和感」が画面から消えた
これまでの記事で何度も触れてきた通り、AI生成動画は「カメラワークの暴走」「同じ人物を保てない」「手や指がおかしくなる」といった破綻がつきものです。視聴者が違和感に気づいた瞬間、没入感が切れて離脱する、という構造だったのかもしれません。
静止画であれば、そもそも「動きの破綻」が発生しません。AIっぽさが目につく箇所そのものを減らせたことが、離脱を防いだ可能性があります。
仮説2:ナレーションが「先の展開を予測させない」引力を作った
怪談朗読は、映像ジャンルというより音声ジャンルに近いものです。ラジオドラマやASMR系の朗読コンテンツが根強い人気を持っているように、「次に何を言うか」で聞かせる形式は、視覚情報よりも先の展開が読みにくく、耳を離しにくい構造があります。
映像主体の動画は「見れば展開が分かってしまう」瞬間がありますが、朗読中心だと画面を見続けなくても情報が入ってくる分、逆に「聞き逃したくない」という心理が働いたのかもしれません。
仮説3:ElevenLabsの声質が「作り物感」を減らした
AI生成ナレーションの品質がどこまで維持率に効いているかは未検証ですが、棒読み感の強い音声合成だと離脱要因になり得ます。ElevenLabsは抑揚やトーンの自然さに定評があるツールなので、「聞いていて疲れない声」であること自体が、最後まで見てもらう土台になっていた可能性はあります。
仮説4:過激な恐怖演出を抑えたことがフィード露出そのものを変えた
これは維持率というより、その手前の話になりますが、切り離せない要素だと思っています。**「過激な恐怖演出」はショートフィードに載りにくいのではないか**というのが、今回の変更に至った肌感覚でした。
直接的な因果関係は確認できていませんが、演出を抑えた今の形にしてからフィードへの露出が戻った実感があります。露出が戻ったことでそもそも母数が増え、結果として「最後まで見られやすい層」に届きやすくなった、という間接的な効果も含まれているかもしれません。維持率の改善を「演出の質」だけで説明せず、「誰に届いたか」という側面も合わせて考える必要がありそうです。
従来型と静止画+朗読型の比較表
これが従来の型と現在修正を加えた型の比較です。
| 項目 | これまでの動画主体型 | 静止画+朗読型 |
|---|---|---|
| メインの表現手段 | AI生成の動く映像 | AI静止画+音声ナレーション |
| 制作の手間 | 映像生成の試行錯誤が多い | 画像生成+台本+音声合成 |
| AI特有の違和感 | 出やすい(動き・一貫性) | 出にくい(静止画は破綻が少ない) |
| 恐怖演出の強さ | 過激寄り | 語りで積み上げる、控えめ |
| ショートフィードへの露出(体感) | ある時期から載らなくなった | 戻った |
| 視聴維持率 | 34%(体感で伸び悩み) | 66%台(実測・2本連続) |
今後検証したいこと
正直なところ、これはサンプル数の少ない体感ベースの話です。今後、以下は追って検証したいと思っています。
– 静止画の枚数・切り替えテンポと維持率の関係
– ElevenLabsの声質(トーン・速度)による差
– 怪談以外のジャンル(都市伝説・実話系など)でも同じ傾向が出るか
– 動く映像を「要所だけ」混ぜた場合との比較
– 「過激な恐怖演出がフィードに載りにくい」という仮説そのものの検証(演出の強さを段階的に変えて比較する等)
まとめ
34%という数字に伸び悩んでいたところから、映像を作り込む方向ではなく、あえて「動かさない」方向に振ったことで視聴維持率が66%台まで改善したというのは、自分でも意外な結果でした。しかも1本ではなく2本続けて同じ水準が出ているので、偶然ではなく型として機能していそうです。
AI動画制作というと、つい「いかにリアルな映像を作るか」に意識が向きがちですが、視聴者が最後まで見てくれるかどうかは、映像のクオリティとは別の軸で決まっているのかもしれません。次はこの仮説を数字で裏付けられるよう、もう少し条件を揃えて検証してみようと思います。
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