VHS画質・監視カメラ映像を自然に見せるための失敗例と改善例
AI動画生成で、VHS画質の監視カメラ映像やパラノーマル現象を作ろうとすると、思った以上に「作られた映像」に見えてしまうことがあります。
怪異が画面中央に大きく現れたり、カメラが映画のように動いたり、VHSノイズが過剰に入ったりすると、監視映像というよりも、最初から演出されたホラー映像に見えてしまいます。
今回、Gemini Omniで監視カメラ風のパラノーマル映像を試したところ、最初のプロンプトでは作為的な印象が強くなりました。
そこで、プロンプトの考え方を変えたところ、かなり自然な監視映像に近づけることができました。
この記事では、失敗したプロンプトと改善後のプロンプトを比較しながら、AIホラー動画特有の作為感を抑える方法を紹介します。
最初に作ったプロンプト
最初は、次のような単純な指示を使っていました。
失敗プロンプト
Paranormal phenomenon, VHS quality, surveillance camera perspective.
A ghost appears in a dark hallway at night.
The security camera records the ghost slowly approaching the camera.
Scary atmosphere, flickering lights, VHS noise, horror footage.
内容としては分かりやすく、AIにも意図は伝わります。
しかし、実際に生成すると、次のような問題が出やすくなりました。
- 怪異が画面中央に大きく出る
- 幽霊がカメラに向かって歩いてくる
- 照明が不自然に点滅する
- カメラがゆっくりズームする
- VHSノイズが激しく入りすぎる
- 人物や怪異の動きが芝居がかって見える
- 最初からホラー映像として構図が完成している
映像としては分かりやすいのですが、防犯カメラの記録映像というより、映画やショートホラーの一場面に近くなります。
なぜ作為的に見えたのか
原因の一つは、プロンプト内にホラー演出を直接指示する言葉を多く入れていたことです。
たとえば、以下の言葉です。
Paranormal phenomenon
Ghost appears
Scary atmosphere
Flickering lights
Horror footage
Approaching the camera
これらの言葉を入れると、生成AIは「怖い映像を作ること」を優先しやすくなります。
その結果、怪異を大きく見せたり、照明を点滅させたり、カメラに向かって近づかせたりと、視聴者に分かりやすいホラー演出を追加することがあります。
しかし、監視カメラ映像として自然に見せたい場合は、怖さを強調するよりも、まず普通の記録映像を作る必要があります。
改善後の考え方
改善後は、次の方針に変更しました。
- 怪異ではなく、普通の場所を主役にする
- 映像の大半では何も起こさない
- 異常は背景に一度だけ出す
- 怪異をカメラに近づけない
- カメラを完全に固定する
- VHS劣化を弱く指定する
- 映画的な演出を否定する
特に重要だったのは、最初から「怖い映像」を作ろうとしないことです。
普通の監視映像の中に、説明できない小さな変化が一度だけ混ざるようにします。
改善後の成功プロンプト
A fixed surveillance camera view inside an ordinary, empty Japanese building at night.
The camera is mounted high in one corner of the room and never moves. Wide-angle security camera composition. No cinematic framing, no camera movement, no zoom, no cuts.
The room looks completely normal and uneventful. Fluorescent ceiling lights remain steady. Ordinary furniture and objects are placed naturally. Nothing appears staged for a horror scene.
For most of the footage, nothing happens.
Near the end, one very small unexplained change occurs in the background: a dark human-like silhouette briefly becomes visible near the far doorway, partially hidden by the wall.
It does not approach the camera, move dramatically, or face the viewer. It remains visible for less than one second, then is gone.
No one reacts. No jump scare. No dramatic reveal. No exaggerated supernatural effect.
The footage should resemble an old security recording copied onto VHS tape: slightly soft image, low resolution, mild analog noise, subtle color fading, faint tracking instability, occasional frame distortion.
Keep the VHS degradation restrained and realistic.
Natural surveillance footage pacing. Boring, mundane, observational, and ambiguous. The unexplained detail should be easy to miss on first viewing.
Clearly fictional staged AI-generated footage. No real people, no real location, no actual incident.
このプロンプトでは、幽霊やパラノーマル現象を大きく見せるのではなく、背景で一瞬だけ見える人影として指定しています。
また、映像の大部分では何も起こらないようにしています。
この「何も起こらない時間」があることで、監視カメラらしい退屈さが生まれます。
失敗プロンプトと成功プロンプトの違い
失敗例
A ghost appears and slowly approaches the camera.
怪異が主役になり、カメラに向かって動くため、演出された印象が強くなります。
改善例
A dark human-like silhouette briefly becomes visible near the far doorway, partially hidden by the wall.
怪異を背景に置き、壁に一部を隠すことで、偶然映り込んだような印象になります。
失敗例
Scary atmosphere with flickering lights.
AIが照明点滅や強い陰影を追加し、典型的なホラー映像になりやすくなります。
改善例
Fluorescent ceiling lights remain steady.
照明を安定させることで、普通の施設に見えやすくなります。
失敗例
Heavy VHS noise and glitch effects.
映像全体が激しく乱れ、後から追加したフィルターのように見えることがあります。
改善例
Slightly soft image, mild analog noise, subtle color fading, faint tracking instability.
VHS劣化を複数の弱い要素に分けて指定することで、過剰なグリッチを抑えやすくなります。
「VHS画質」は強く指定しすぎない
VHS風の映像を作る際に、単純に「VHS」「glitch」「analog noise」とだけ書くと、AIが映像全体を大きく乱すことがあります。
しかし、本物の古い録画映像は、常に激しく乱れているわけではありません。
自然に見せたい場合は、次のような弱い劣化を組み合わせます。
slightly soft image
low resolution
mild analog noise
subtle color fading
faint tracking instability
occasional horizontal distortion
ポイントは、以下の単語を使うことです。
slightly
mild
subtle
faint
occasional
restrained
これらは、エフェクトを弱く抑えるための表現です。
逆に、次のような表現は強い演出につながる可能性があります。
heavy glitch
extreme distortion
intense VHS noise
violent tracking error
dramatic static
監視カメラ映像ではカメラを動かさない
監視カメラ視点を指定しても、AIが自動的にズームやパンを追加する場合があります。
そのため、カメラの固定は明確に指定した方が安定します。
The camera remains completely still.
No camera movement.
No zoom.
No pan.
No cuts.
No handheld movement.
高い位置に設置されたカメラであることも指定します。
The camera is mounted high in one corner of the room.
これにより、一般的な映画撮影ではなく、防犯カメラに近い構図になりやすくなります。
怪異を画面中央に置かない
AI動画では、重要な対象を画面中央に置こうとする傾向があります。
しかし、怪異が中央に立っていると、最初から見せるために配置されたように感じられます。
自然に見せるには、次のような位置を指定します。
- 遠くの出入口
- 壁の陰
- 窓の反射
- 部屋の隅
- 棚の奥
- 半開きの扉の向こう
- 画面端の暗い場所
たとえば、次のように書きます。
partially hidden by the wall
near the edge of the frame
far in the background
visible only in the reflection
easy to miss on first viewing
「見つけにくさ」を指定すると、心霊映像らしい曖昧さが出やすくなります。
怪異をカメラに近づけない
幽霊や人影がカメラに向かって近づく展開は、分かりやすい反面、作為的に見えやすい演出です。
特にAI動画では、最後に顔を大きく映したり、急に接近したりする結果になりがちです。
監視映像として自然に見せるなら、怪異はその場から動かさない方が安定します。
It does not approach the camera.
It does not face the viewer.
It remains completely still.
It does not react to being recorded.
怪異がカメラの存在を意識しないことで、「偶然記録された」という雰囲気が出ます。
人物の大げさな反応も避ける
映像内に人物がいる場合、その人物が叫んだり、急に振り返ったりすると、芝居に見えることがあります。
人物を登場させる場合は、反応を小さくします。
One person briefly stops walking.
The person looks toward the hallway for a moment.
No screaming.
No running.
No dramatic reaction.
場合によっては、誰も怪異に気づかない方が自然です。
No one notices the anomaly.
No one reacts.
否定プロンプトも重要
AIが勝手に演出を追加する場合は、不要な表現を明確に否定します。
No cinematic lighting.
No dramatic shadows.
No handheld camera.
No camera shake.
No slow zoom.
No sudden close-up.
No jump scare.
No ghost directly in front of the camera.
No distorted face.
No exaggerated movement.
No screaming.
No flickering lights.
No heavy VHS glitch effects.
No obvious horror composition.
すべてを毎回入れる必要はありませんが、生成結果に出やすい問題を優先して追加します。
成功しやすかったプロンプトの構造
今回の改善から、自然な監視カメラ風映像では、次の順番が使いやすいと感じました。
1. 場所を指定する
An ordinary old Japanese apartment hallway at night.
2. カメラ位置を固定する
Fixed high-angle surveillance camera footage.
The camera never moves.
3. 普通の状況を書く
The hallway is empty and quiet.
The fluorescent lighting remains steady.
4. 何も起こらない時間を作る
For most of the footage, nothing happens.
5. 小さな異常を一つだけ入れる
A faint human-like shadow briefly appears in the reflection.
6. 大げさな演出を禁止する
No jump scare, no zoom, no dramatic reveal.
7. VHS劣化を弱く指定する
Mild analog noise and subtle color fading.
この順番で書くと、「ホラー映像を作ってください」ではなく、「普通の監視映像の中で、小さな異変が起こる映像を作ってください」という指示になります。
まとめ
AIホラー動画の作為感を抑えるために重要なのは、怪異をリアルに描くことだけではありません。
むしろ、怪異以外の部分を普通に見せることが重要です。
今回、特に効果を感じたのは次の点です。
- 「パラノーマル現象」と大きく指定しない
- 普通の場所と普通の時間を先に作る
- 映像の大半では何も起こさない
- 怪異は背景に一度だけ出す
- 怪異をカメラに近づけない
- 照明を点滅させない
- カメラを完全に固定する
- VHSノイズを弱く抑える
- ジャンプスケアやズームを否定する
AI動画では、怖さを足せば足すほど、必ずしもリアルになるわけではありません。
特に監視カメラ風の映像では、分かりやすさよりも「何か映っていたかもしれない」という曖昧さの方が効果的です。
怖い映像を直接作るのではなく、普通の記録映像を作り、その中に一つだけ不自然な差分を入れる。
この考え方に変えることで、VHS風や監視カメラ風のAIホラー映像は、かなり自然に見せやすくなりました。
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